月
月は、太陽光を反射して輝く二次光源である。
壮大な例であるが、太陽の反射板と考えればよいだろう。
- 赤道半径:1,738km
- 軌道長半径:384,400km
- 満月の光度:約8×1016cd
- 輝度:3×103 cd/m2
- 色温度:4,100K
- 満月の夜の地表の照度:約0.2lx
(月のない晴天の夜の照度は約3×10-4 lx程度、その20%が星光、80%が夜光)
電気学会「照明工学」(オーム社)より
月の明るさ
満月の明るさは地球上を0.2lxで照らし出す力をもっている。
また満月での輪郭は中心も周辺も同様の明るさで(むしろ周辺部の方が少し明るく)ハッキリと映し出されている。
これは月の極めて特異な性質といわれている。
その理由として、月の表面には細かい岩石の粉がふんわりと堆積しているためと考えられている。
この表面の性質によって月の表面に垂直に入射した光は垂直に反射する光が最も強くなり、さらに月面に斜めに入射した場合も、光が来た方向に返る光がもっとも強くなり、その強さは直角に入射した場合と同じ強さといわれている。
こうした性質をもつ天体は太陽系の中では水星などごく少数で、ほとんどの天体は写真に撮ると縁の方が暗く写るといわれている。
満月はとても明るく、その明るさは朝方太陽が昇ってあたりが明るくなってもまだ認識できるほどの明るさで、下弦の月となって午前中に西の空にあるときにも青空にその原型をとどめている。
月の明るさは、青空と同じ明るさを持っていることになる。
月は太陽から見れば地球とほぼ同じ距離にあり、月の表面に受ける単位面積あたりの光束(照度)は同じはずである。
この観点から見ると月面には170,000lx程度の明るさがあることになる(もちろん月には大気もなければ雲もないから可視光以上のエネルギが降り注いでいる)。
この170,000lxの光が反射して地球に到達し夜の地球を照らし出しているが、その月の輝度はデータによると3,000cd/m2となっている。
この明るさは先ほども述べた青空の明るさとほぼ同じである。
ここで、先に述べた「照度と輝度について 」の式を引用したい。
B=K×E/π
B:輝度〔cd/m2〕
K:物体の反射係数、黒いほど値が低い、100%反射は1.0
E:照度〔lx〕
π:円周率(3.14159)
この式に月表面の照度と輝度を代入するとKの値が求まる。従って、
B=3,000〔cd/m2〕
E=170,000〔lx〕
π=3.14159より、
K=B×π/E=3000×3.14159/170,000=0.055
を求めることができる。
これの意味するところは、月の表面は太陽の可視光の5.5%を反射していることを示している。
6%の反射というとかなり黒い物体といえるであろう。
それでも、3,000cd/m2の輝度を持っているのであるから太陽は明るいといわざるを得ない。
また、月の反射が白い紙のように80%もあるとしたら地球の夜はかなり明るい夜となったに違いない。
月をモデルにして、光度と輝度について考えて見たい。
3,000cd/m2の輝度を持つ3,500kmの球形をした月が、384,000km離れた地球を0.2lxで照らすというデータがある。
このレイアウトは月と地球の距離が月の大きさに比べて十分に遠いので月を点光源と見なすこともできる。
月の光度はデータによると8×1016cdであるから、このデータを使って地球面の照度を計算すると、
E=8×1016〔cd〕/(3.84×108)2〔m2〕= 0.54〔lx〕
という値が算出される。
データによる地球面での照度0.2lxと2倍強の違いがあるが、この誤差は、おそらく
- 月が完全拡散体ではない
- 月の位置(地球の測定緯度)と地球大気の吸収係数を加味しなければならない
ことに原因があると考える。