光のいろは

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ANSIルーメン│計算

ANSIルーメン

昨今のプロジェクタの興隆で、明るさの度合いを表す単位として頻繁に登場するのがANSIルーメンという光の単位である。

ルーメンはいうまでもなく「光束」の単位であるが、プロジェクタの性能表現になぜ使わているのかといえば、この値をスクリーン面積で割ってやれば、スクリーン照度を簡単に割り出すことができるからである。

照度は、私たちに一番なじみが深い光の単位なので理解がしやすい。

例を挙げると、40万円クラスの液晶プロジェクタの明るさが1,200ANSIルーメンとすると、このプロジェクタを使って2m×1.5m の大きさのスクリーンに投影した場合スクリーン照度は、次のようになる

 

1,200〔lm〕/2〔m〕×1.5〔m〕=400〔lx〕

 

400ルクスは通常の事務所の明るさであるから、事務所内でこのプロジェクタを使用するには、部屋の明るさをプロジェクタのスクリーン照度よりも1/5から1/10に落とさなければならない。

この場合には、部屋の明るさを100ルクスから50ルクスくらいにする必要がある。

また、500ルクスの事務所内でプロジェクタを使用する場合には、2,000ルクス程度のスクリーン照度が必要となるので、同じプロジェクタを使った場合のスクリーン投影は1m×0.8m程度の大きさにすればよい。

このように、ANSIルーメンの単位はスクリーンの大きさとスクリーン照度に直結する光の単位なので極めて分かりやすい。

ルーメンという光束の単位の前にA N S Iという記号がつくのは、A N S I(American National Standard Institute)という米国の規格協会が制定した測定方法によって算出しているためである。

ANSIが定めた光束の測定方法とは、40型から70型の白いスクリーンを用いて(映像は出さずに)光だけをスクリーンに投影し、その画面を9分割してそれぞれ各ゾーンの中心に照度計を置いて照度(ルクス)を測定する。

この9箇所の照度の平均値にスクリーンの面積(m2)を掛けた値がANSIルーメンとなる。