光のいろは

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輝度測定の距離依存性

輝度測定の距離依存性

照度は照射距離で値が違ってくるのに、なぜ輝度は距離によって値が変わらないのか?

映像関係のイベントで、プロジェクタのスクリーン設置工事に携わったことがある。

スクリーン面での明るさを計るため輝度計(スポットメータ)を使って張られたスクリーンにチャートフィルムを映してスクリーン各部の輝度を測定した。

このとき教わったことは、「輝度面からの測定する距離が変わっても、輝度値は基本的には変わらない」ということであった。

当時、実際にスクリーン面輝度を輝度計で計って、事実として理解したものの、原理的に十分な理解を得るまでには至らなかった。

輝度面から離れれば明るさも暗くなりそうな気がして十分な理解ができなかったのである。

輝度というのは単位面積から発している光束の度合い(光度)を示すものであり、距離が遠くなればそれだけ目(輝度計)に入る光束は少なくなる。

しかし、光を発している発光体の面積も小さくなるため、比率(立体角あたりの光束)は結局変わらない。

これが、「輝度は計る距離によって変わらない」という拠り所となっている。

輝度の単位面積を極端に小さくした点光源では値が光度となり、この値は光束を四方八方に発散させる能力を表すものであって、見る位置によって値が変わる代物でないことはご理解いただけるものと思う。

ただし、上記の説明は一般的な説明であり(完全拡散光源について述べたもので)、発光体の放射に偏りがあるようなものでは、このきまりは当てはまらないことをご理解いただきたい。

輝度と距離の依存性

輝度と距離の依存性