光のいろは

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レーザシャドウグラフの光源

レーザシャドウグラフの光源

レーザを光源とした応用のひとつを紹介する。

自動車などの内燃機関のエンジン燃焼で使われるシュリーレン手法やシャドウグラフ手法ではレーザを点光源に見立てたレーザシャドウグラフという撮影手法が幅広く使われている。

レーザシャドウグラフの場合、10mWのヘリウム・ネオンレーザでどの程度の短時間露光が可能かを検討してみたい。

レーザは、光の出力エネルギが正確に把握できるためフィルム面(やCCD撮像面)に到達する光量を計算することができる。

一方、感光フィルムやCCD撮像素子では像面での適性露光量が決まっていて、ASA(ISO)100のフィルムで0.1lx・秒、CCDカメラで1/160lx・秒となっている。

これは、ASA100のフィルムを使えば、0.1lxの像面を照らす照度でシャッタ速度を1秒間にセットすれば、適性露光が得られることを示している。

また、1lxの照度でフィルム面に光が当たっていれば、1/10秒の露光で適正露光濃度が得られることを示している。

10mWのヘリウム・ネオンレーザを光学系で集光させて像面上でφ6mmの径に結ばせたとき、2lmのレーザ光束は、

 

1.97〔lx〕/(9π×10-6)〔m2〕= 69,700〔lx〕

 

の照度が得られる。

しかしレーザは、光学レンズ、被写体を透過して撮像面に到達するためこの間の吸収を加味しなければならない。

これらの光学系で50%の吸収ロスがあると仮定すると、像面は、

 

69,700〔lx〕/2 = 34,900〔lx〕

 

の照度となる。

ASA100のフィルムは、0.1lx・秒で適性露光になるのでこの値から必要な露光時間を求めると

 

0.1〔lx・秒〕/35,000〔lx〕= 2.9×10-6〔秒〕

 

となり、3μsの露光でASA100のフィルムは適性露光となる。

CCDカメラではさらに、ASA(ISO)100のフィルムの1/16の露光時間で適正となるので、200ns(0.2マイクロ秒)を与えればよいことになる。

いずれにしてもレーザ光を用いると光学系のセッティングが容易で効率良く光を導くことができ、比較的微弱な光でも3μs程度の露光を満足できるという、興味ある結果が導き出される。

 

レーザ光による撮影応用例

レーザ光による撮影応用例