光のいろは

光を基礎から知るブログ

光源としての『ろうそく』

ろうそく

ヒトは灯りを手にすることにより闇を支配することができるようになった。

また、灯りの熱を利用して寒さを克服し食を安定させた。

「木」を燃やす明かりを経て「脂肪」、「蝋」を使った「ランプ」や「ろうそく」が生まれた。

ろうそくの原料は、ハゼの実、松脂、牛脂、鯨油(マッコウクジラ)、蜜蝋、パラフィンなどが使われた。

ろうそくは、酸素と水素および酸素と炭素が反応して熱が発生し、その熱により未反応部の炭素が熱せられる固体輻射の原理を応用している。

ろうそくはそれほど強い明かりではない。

また広範囲を照らし出す明かりでもない。

ろうそくの明るさは炭素分子が熱せられる固体輻射に依存しているため、高温の炎(水素と酸素)を使って炭素の固まり(コークスなど)を燃やせば明るい(高温)光が得られる。

しかし、ろうそく自体にはたくさんの水素が含まれておらず、また炎の中に遊離した炭素もそれほどたくさんあるわけではないため、明るい炎とはならない。

ろうそくについては英国人物理学者マイケル・ファラディーの著した「ろうそくの科学」が有名で、ろうそく1本の中に秘められた科学的事実を多方面から検証している。

ただ、その書物にはろうそくの光度や輝度についての十分な記述はなかった。

光の単位の光度(cd=カンデラ)はろうそく(キャンドル)の明るさからきたといわれているが、ろうそくの炎の大きさによって明るさが違う。

また、輝度も異なる。

自宅にあったろうそく(直径20mm、芯径2.2mm、炎のサイズ短径15mm、長径30mm)を使って明るさを測定したところ炎の最大輝度は1,200cd/m2であった。

この炎の明かりは距離100mmで200lx、300mmの距離で15lxの照度を得た。

炎の光度1cdとは大分違う値である。1cdの値を基準にした炎はもっと小さなろうそくの炎だったと思われる。