白熱電球
タングステンランプ
発熱体(フィラメント)材料には、高温に耐え可視光域の発光効率が高く、かつ適当な電気抵抗を持つタングステンが使われている。
タングステンランプは、消費電力10~1,000W程度が一般的で、1,000~20,000lxの照度範囲で、4m2程度の照射範囲に使用されている。
家庭用の照明装置は20~30Wの蛍光灯にその座を奪われつつあるが、自動車用ヘッドランプ、表示灯、舞台照明、スタジオ撮影用照明、携帯用ランプ、直流点灯標準光源などにはこの種のランプが使われている。
懐中電灯などには小型のクリプトンランプが使われている。
クリプトンランプはタングステンランプのバルブ中に不活性ガスであるクリプトンを封入したものである。
白熱電球の開発初期はバルブの中が真空であったが、フィラメントの蒸発が大きく蒸発したタングステンがバルブ内面に付着する黒化という問題があった。
これを防ぐ手だてとして、1913年、GE社のラングミュアーによってバルブ内に不活性ガスを封入するガス入り電球が開発され、黒化問題が抑制された。
封入ガスとしては通常アルゴンガスと窒素ガスの混合ガスが使われる。
アルゴンに変えてクリプトン、キセノンなどの希ガスを封入したのがクリ
プトン電球である。クリプトンは分子量が大きく重いガスであるために、アルゴンや窒素のような軽いガスと違い熱対流がおきにくくフィラメントからの熱を奪
いにくい性質をもつ。このクリプトンガスによって高効率、高寿命のランプがで
きた。
タングステンランプの寿命はフィラメントの寿命がもっとも大きな要因である。
フィラメントの寿命はフィラメント温度に依存する。
フィラメント温度を上げると(電圧を上げると)、光度は上昇するがフィラメントの蒸発も大きくなり切れてしまう。
タングステン電球に定格電圧より5%上昇した電圧を加えると(100V定格の電球に105Vの電圧を加えると)、明るさは18%増えるが寿命が半分になってしまう。
140Vの電圧では電球は瞬時に切れてしまう。
フィラメントの熱による蒸発を防ぐため高温に耐えるフィラメント材(炭素、タングステン、オスミウム、タンタラム)が開発された。
また、フィラメント形状も弧状のものから2重コイルにして熱を奪われにくい方式になった。
ランプの高出力化とともにフィラメントの光度が高くなりすぎて、まぶしさを与えるようになった。
1925年、日本の不破橘三(東芝)によってバブル内面をつや消し処理した電球が開発された。
このランプの代表的なものについてその照度測定例を紹介したい(表1、表2参照)。
ランプは写真撮影用に使われている岩崎電気のアイランプ(500W)で、このランプ1灯を用いて照度を計測した。
照射距離200mm、照射エリアφ100mmで平均照度40,000lxを得た。
また、距離を100mmに近づけて測定した結果、照射エリアφ50mmで照度80,000lxを得た。
近距離では、ランプが大きいため照度の逆2乗の法則を満足しない。
近距離で使う場合、熱も同時に被写体に与えられるため考慮が必要である。