光のいろは

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ガス灯の歴史

ガス灯

19世紀まで暗黒の闇を照らし出す明かりは、ろうそく、石油ランプ(カンテラ)であった。

この時代にガス灯が登場する。

ガス灯は、石炭を乾留して得られる石炭ガスを燃やした灯火のことである。

当時、石炭ガスは石炭を乾留してコークスとタールのみを取り出し、残りのガスは大気に捨てていた。

イギリスのマードック(William Murdock:1754~1839)はそれに注目したのである。

1802年、彼は石炭ガスの発生装置を作り、これをボールトン・ワット商会(蒸気機関の改良を行ったJames Wattとその友人ボールトンの会社)のソホー工場の照明に使った。

ガス燃焼器の改良を経て、マードックの教え子であるクレッグが10年後の1812年に世界最初の都市ガス会社を設立した。

ガス産業は、ヨーロッパではイギリスがいち早い発展を見た。

その中で、ロンドンは、わずか数年のうちにガス供給を広範囲に備えた最初の大都市になった。

アメリカでも1815年、フィラデルフィアでガス灯会社が創立された。

主に工場の照明に使われた。

石炭ガスは製造、貯蔵、配管の問題があり、特に貯蔵には高圧液化という大きな課題を抱えていた。

また、ガス爆発といつも隣り合わせにある危険性をもっていた。

当時のガスは無色無臭で危険きわまりないものであった。

この石炭ガスを使った照明は、明るさの点(ろうそくの焔の3~10倍の明るさ)や、能率や安全性の面からも必ずしも満足のいくものではなかった。

劇場などでこのガス灯が使われるとガス灯によりたくさんの酸素が使われ観客は酸欠のため激しい頭痛におそわれたという。

当時としてはほかに代わるものがなくやむなく採用されたものであった。