一般的な光源についてその特色、用途を述べてみたいと思う。
下図は、それぞれの光源について、おおよその照度(ルクス)、撮影できる撮
影速度(コマ/秒)、価格を表したチャートである。
ここに挙げた光源は代表的なものであり、それぞれの特徴を項目別に列挙した。
光源としてはこの他に蛍光灯、水銀灯、ナトリウムランプ、発光ダイオード、EL(エレクトロルミネセンス)素子、ろうそくなどがあるが、これらの光源についてはその成り立ちや特性、詳細を追って説明する。
太陽光
太陽光は人類にとってなじみが深く、地球上のすべてのエネルギの源泉でもある。
石油も石炭も太陽が長年にわたって育んだ生物の遺産をエネルギという形で蓄えたものであるし、雨による水資源の循環、植物の光合成による大気の還元作用もすべて太陽エネルギに依存している。
人間の目も太陽光に適用して進化を遂げてきたため、太陽光が人間にとって最も理想の光源といえる。
太陽光は、良好な平行光でエネルギの絶対量も多く集光すればかなり強力な光源となる。
米国では、屋外での大規模爆風実験に衝撃波の可視化光源として太陽光を積極的に利用している。
自動車の安全実験(車をバリアにぶつける衝突実験)を始め、航空機の安全実験、大型構造物の撮影においても太陽光は重要な光源となっている。
宇宙開発の大型実験にも太陽を照明光源とした高速度撮影が行われている。
太陽光を利用する問題点は、時事刻々光源の位置が変わり、緯度や季節によっても明るさが変化し気象条件によって撮影条件が大きく左右されることである。
電気学会「照明工学」(オーム社)のデータによると、緯度35度の地域で最も太陽照度が高いのは夏至の南中で約110,000lxとあり、この値は、冬至の南中の倍近い値となっている。
つまり、夏至は冬至より倍の明るさがあるということを意味している。以下に太陽のデータを示す。
- 放射束:3.81×1026W
- 光束:3.57×1028 lm
- 光度:3.84×1027cd
- 発光効率:93.7 lm/W
- 色温度:6,280 K
- 輝度:1.87×109cd/m2
- 直径:1.39×109m
- 地球からの平均距離:1.496×1011m
- 太陽定数:1.94 cal/cm2・min(=1.35×103 W/m2)
太陽定数とは、太陽が天頂にあり、途中の大気による吸収がないと仮定したときの地球の表面で1cm2の水平面積に1分間に受ける全放射エネルギを表す。
放線照射照度をカロリーで表した数値である。
実際は大気の吸収、浮遊微粒子、水蒸気などの吸収を考慮しなければならない。
北緯35°、夏至の12時の通常の気象条件で1.3cal/cm2・minの値の30%程度が損失として失われる。