フォトン(光子)
フォトンという光の単位について、話を進めてみたい。
多くの方はこの単位についてなじみが薄く、直接的には関係のない考え方かも知れない。
しかし、身近にある光がフォトンという興味深い物理的内容を持っていることを多少なりとも理解していることは大切であろう。
光をフォトン(光子)というエネルギ単位で論じられるようになったのは20世紀初頭で、量子物理学の世界から発展してきた。
フォトンは微弱な光を扱うときに使用される光のエネルギ単位で、J(ジュール)で表される。
このエネルギ単位は下記の式に示されるように、光の波長によって決まっているため、特定の光のみ発光している現象において、その放射エネルギがわかっていれば式の量子化された光エネルギ単位で割ることで、1個、2個と「光」が数えられるようになる。
E = hν
E:光のエネルギ〔J〕
h:プランク定数、6.6260755×10-34 〔J・s〕
ν:光の周波数= c/λ
微弱光の研究分野では高感度光検出器を使って光の測定を行う際、エネルギが連続した値とならずに飛び飛びの値で放射される事実がわかっている。
これがフォトンカウンティングと呼ばれる所以である。
光は波の性質と粒子の性質を併せ持っている。
光が波であるのか粒子であるのかの論議はかなり激しく論じられてきた(現在は双方の性質をもった存在として定着している)。
ニュートン(イギリス)は、光は粒子であるという説を曲げなかったが、トーマス・ヤングという同国の科学者による実験的考察から光の波動説に軍配が上がり、彼の粒子説は幕を下ろさざるを得なくなった。
当時の光の振る舞いを物理的側面から見た場合、粒子よりも波の性質の方が物性がよくわかっていて説得力があったのである。
しかし、彼の唱えた仮説は、スコットランドの科学者ジェームズ・クラーク・マックスウェルの提唱した(光の)電磁波理論で再び日の目を見るようになった。
そして、ドイツ人科学者プランクおよびアインシュタインらによって、光エネルギは量子力学の中では粒子的な振る舞いをする量として組み入れるようになった。
プランクは光の放射がある単位量をもとにして不連続に変化することを示し、これに至る前段階として熱放射について彼の考え方を明確にして「プランク定数」を導き出した。
また、光を量子力学の世界で不連続なエネルギ量(粒子)として確立したのはアインシュタインである。
量子力学が発達する中で、光と電子はエネルギを授受しあう重要な相互関係があることがわかった。
原子・分子が放出するエネルギ形態のひとつが光エネルギであることもわかってきたのである。
電子と密接な関係がある光エネルギは連続した値を取らずに飛び飛びの値を取るという発見があり、
E = hν
E:光のエネルギ〔J〕
h:プランク定数、6.6260755×10-34 〔J・s〕
ν:光の周波数= c/λ
c:光速、299792.458 km/s (真空中)
という単位のエネルギになることを1905年にアインシュタインが突き止めたのである。
この式の最小単位を光子(フォトン)と呼んでいる。