光のいろは

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メタルハライドランプとは

メタルハライドランプ

メタルハライドランプは水銀放電灯の一種である。

昨今はHIDランプの代名詞にまで成長した。

メタルハライドランプは、水銀灯の効率の良さを保ちながら水銀ランプの発光管内にハロゲン化金属(TII、SnI2、NaI、InI、DyI3など)を封入し、演色性を改善したものである。

演色性とは光源を当てて物体を見る場合の自然な色合いの度合いを指し、太陽光に近い光源が演色性が良いといっている(「演色性」を参照)。

www.optlabo.work

演色性が100に近い値を持つ光源ほど光の質が太陽光に近く、演色性が良いことになる。

メタルハライドランプの演色性は90である。

メタルハライドランプの開発は1961年に行われた。

アメリカのレイリング(R.H. Reiling)が水銀ランプの発光管の中にナトリウム、タリウムおよびインジウムのヨウ化物添加封入し、ランプ寿命を損なうことなく光色や演色性が双方とも大幅に向上することを発表してメタルハライドランプの実用化に成功し、翌年1962年米国ウェスチングハウス社から発売された。

メタルハライドランプの原型は水銀灯である。

水銀ランプの演色性を改善する試みは1930年頃から行われ、発光管内に水銀の他にカドミウム(Cd)や亜鉛(Zn)など蒸気圧の高い金属を添加封入しそれら金属の発光スペクトルを利用することが試みられていた。

しかし、金属蒸気を安定させるためには高温が必要で、それに耐えられる発光管の製作が当時の技術では難しく開発は難航した。

発光管としての石英ガラスは1,000℃が限界であり、この温度では金属蒸気を安定させて光を取り出すことが困難であった。

また、ナトリウムは高温で石英を急速に浸食させるのでそのままの形で使用することは不可能であった。

これらの問題を解決したのがレイリングであり、彼は金属をハロゲン化合物として封入すると、温度が低くなる発光管壁近くでハロゲン化合物として存在することをつきとめ、石英管が金属蒸気から侵されないのを発見した。

このハロゲン化合物の金属を水銀灯に封入することにより実用化の目途がたった。

発光管内のハロゲン化金属は電極間のアーク中心部の約5,000Kの高温で金属原子とハロゲンに解離して金属特有のスペクトルを放射するようになり、管壁近傍で再びハロゲ
ンと結合してハロゲン化金属となる。

メタルハライドランプは、250W程度の小型ランプから18kW程度の大きなものまであり、映画撮影用照明装置、自動車安全実験高速度カメラ用照明装置、スタジアム照明装置、街路灯として近年急速に需要を増している。

メタルハライドランプは、演色性が極めて良く塗料の色合成の際に光源として用いられることもある。

また、発光効率が80 lm/Wと高いため必要照度を得るのに熱の発生を抑え省エネルギにつながり、ランプの設置灯数、消費電力を抑えることができる。