光のいろは

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長時間閃光電球

長時間閃光電球

閃光電球を大型にして比較的長時間発光するようにしたものが長時間閃光電球である。

この閃光電球は1.5秒程度の発光を持ち、発光光量が通常のタングステンランプより大きいことから洞窟内や大きなイベントホールなど大きな撮影範囲を照明するのに使われている。

大光量電球を用いたロケットモータの実験撮影

大光量電球を用いたロケットモータの実験撮影

この電球を使った撮影技術はフラッシュライトペインティングと呼ばれ、フラッシュバルブが発光している間フラッシュバルブを手に持って大きく振りかざし洞窟内の内壁に光を塗りつける動作を行う。

カメラはその間開放にしておく。長時間閃光電球は光量が大きく3m離れた距離でも、8×8mのエリアを1,200lxの明るさで照射することが可能である。

洞窟写真家は、100×100×100m程度の洞窟内空間を広角レンズ付きカメラと複数のフラッシュバルブを使って撮影を行っている。

この高輝度ランプのもうひとつの使用例は、高速度カメラ用照明光源である。

下記に示すアイルランドMeggaflash社の長時間閃光電球PF-330は、1.5秒間の発光を持ち、2,000コマ/秒、露出時間60マイクロ秒、レンズ絞りF5.6の露出で、照射距離1mから照射エリアφ80cmを確保できる。

照射距離を2mにして照射エリアをφ1.6mとしても絞りF2.8で撮影できるだけの光量が確保できる。

光量は140,000lm/秒が確保できるため、1.75kW相当のHMIランプ(メタルハライドランプ)に相当する。

このランプは100Wクラスの白熱電球並の大きさでコンパクトであり、発光のための電源は乾電池(3~45V)を印加するだけでよいため場所の狭い限られたスペースでの使用に向いている(PF-330は、1986年まで米国GTE Sylvania社のFF-33という製品名で販売されていた同一製品である。その後EG&G社が製造権を取得しアイルランド工場で製造。1995年、Meggaflash社が製造権を引き継いだ)。

以下に長時間閃光電球の仕様を述べる。

【Megga-flash Bulbs(Meggaflash Technologies Ltd社製)仕様】

  • モデル名:PF-330
  • タイプ:Flood Flash(大光量フラッシュ)
  • 発光時間:1.7秒
  • 着火遅れ:50ms
  • 光量(定格):140,000lm・秒
  • 色温度:3,800K
  • BC パワー(最小):10MWS
  • バブルタイプ:A-23
  • ベースタイプ:Med Screw #102(通常のエジソン口金)
  • 着火電圧:4.5~45V
  • 必要電流:3A
  • 寸法:φ72×151mm
  • 重量:200g以下